「梅雨の終わりに」

29期生 尾崎一広



都内から二時間ほどかけて、富士山のよく見える街に勤めています。
先日、電車を降りたところ、一足先にその街が夏になったのを感じました。体が少しこわばりました。私は夏が苦手です。

もう十年になりますが、毎年、夏との闘いに私はずっと敗れています。むっとする暑気に包まれると、体は重く、息苦しくなり、クーラーの下で突っ伏して秋の訪れを待っています。こんな地球に誰がしたんだとぶつぶつ言って、アイスを食べながら引き籠ります。

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昨年の秋に井本整体を学び始めて、いろいろなことを教わりました。技術、思想、人への接し方など学ぶ内容は広範です。教わることのほとんど何も満足にこなせない自分ですが、不思議な魅力に惹かれながら最後尾で追いかけています。授業で習った体操は、そんなだめだめランナーの心強い伴走者です。

自分の健康は自分で保つ。整体の、その気概が私は好きです。病気になっても、心が乱れても、最終的には自分で何とかできる人間になりたいなと思います。
体操をしていると、自分の体との関係が少し深まるような気がします。井本整体の体操はシンプルな動きの中にも微妙な勘所を要するようで、なかなかこれだ!という動きはできませんが、体操の後の一息が気持ちよく、毎日、家で楽しく実践しています。けっこう的は外しています。

下手なりにも体操を続けているせいか、少しずつ体力もつき、なんだか、体を動かしたいです。疲れやすく、休日は日がな一日ごろごろしているばかりでしたが、最近は用がなくても近所をうろうろしています。ヒマな人だと思われているかもしれません。でも体を使うのが、こんなに気持ちいいなんて!

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東海の空気に夏を感じてしばらく経ちますが、今年は自分の口から季節に対する愚痴の言葉はまだ出ません。めったやたらと暑いですが、暑さの奥に、ほんの少し、気持よさを感じるようになりました。

「体がゆるんでいる人は、高熱を発しても楽に経過することができる」

授業でこのように習いました。体が硬く熱もあまり出ない自分は、そういうものなのかなと忘れていましたが、夏の暑さに今までにない親近感を覚えながら、きっとそうに違いない!と反芻しつつ、毎朝、出勤しています。

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万物は流転しているらしいですが、物事がすべて最良の瞬間で停止すればいいのにな、と小さな頃から念じていました。しかし歳はとる、体は壊す、うかうかしていたら夏は来るで、どうにも変化は進行します。たぶん来年も夏は来ると思います。その時は今よりもっと気楽な気持ちで、季節の変化を迎えたいなと思います。季節の変化も、心の変化も、人との関係や体の大きな変動も、受け入れられる、さらさらとした身体になりたい。

「身体の変化を楽しむ」

今年の東京セミナーは、「変化」に的を絞りました。ひとりひとりの力で体を確実に変えていく技術と、変化を肯定し後押しできる力強さが井本整体にはあると思います。
秋の東京セミナーが、このサイトをご覧になっている方々が自分なりの楽しい「変化」に出会う一助となれば幸いです。

 




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